2017年4月17日月曜日

宮下公園3/27-28 弾圧 Dさんの勾留理由開示公判(4月13日)傍聴報告

4月13日、東京地裁にてDさん・Eさんの勾留理由開示公判が開かれました。勾留理由開示公判とは、逮捕後48時間を超えて被疑者の監禁を続けるために検察が行う勾留請求を認め決定した理由などについて裁判所に釈明をもとめる機会のことです。

Dさんの公判は傍聴席20席に対して8名ほどの裁判所警備職員が配置される物々しい警備法廷で行なわれました。 Dさんは入室すると傍聴につめかけた仲間たちをぐるぐると見渡し、着席。腰縄と手錠が解かれます。左側2名、右側1名の警察官に挟まれるかたち。ずっと閉じ込められたままのDさんはややほっとした表情でした(希望的観測)。

勾留請求にハンコを押した裁判官は白石です。ところが裁判官席に座っていたのは別人の高島でした。すかさず2名の弁護人からするどく追及。なぜ白石裁判官ではないのか? 本来、勾留開示請求公判とは、検察からの請求を認め決定した裁判官が自ら釈明する場ではないのか? ところが裁判官は、

 高島:「ご意見として伺います」
 弁護人:「用事でもできたのか? 理由を述べてください」
 高島:「侮辱するようであれば退廷を命じますよ」

などと、質問に答えないどころか、
開廷数分にして恫喝にかかってくる始末。

続いて、高島が「被疑事実」(逮捕や勾留にあたっての権力側の口実)を朗読しました。
続いて弁護人からこの「被疑事実」について詳細に質問(求釈明)。やりとりを一部再現しますと、

 弁護人:「新宮下公園等整備事業とは?」
 高島:「周辺駐車場、公園にかかる整備事業」
 弁護人:「事業に伴う仮囲い作業とあるが、これは3月27日に行われた。どういった法的根拠に基づくのか?公園整備事業に含まれるのか?」
 高島:「ご意見として伺います」
 弁護人:「意見ではなく質問をしているんです。3月27日、都市計画法に基づき告示はなされていたのか?」
 高島:「ご意見として伺います」


 弁護人:「新宮下公園等整備事業というのは存在するのか?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「私は整備事業が本当にある計画なのか、まだない計画なのかを聞いている。まだない計画なのに『それに伴う』と言っているのではないか? 都市計画法に何の根拠もなく行ったのであれば、渋谷区の大失態ですよ」
 高島:「整備事業は存在します」
 弁護人:「それはいつからの事業か」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「3月27日の時点で存在しない事業だったのでは?この計画、まだないんですよ。それなのに『それに伴う』とは?裁判官は決定も告知もなされていない事について存在すると?」
 高島:「ご意見として伺います」
 弁護人:「意見ではなく質問をしているんです」
 高島:「答える必要はありません」


 弁護人:「仮囲いをした時に中に人がいたのは知っていたのか?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「被疑事実に『宮下公園大階段』とわざわざ示しているという事は、宮下公園の一部なんですか?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「宮下公園大階段で作業が行われていて、被疑者が抗議をしたのは工事現場の内側からか、それとも外側からか?」
 高島:「ご意見として伺います」
 弁護人:「宮下公園大階段は宮下公園の一部ではないんですよ。先程、仮囲いは宮下公園の外周とおっしゃったが、大階段は都道です」
 高島:「ご意見として伺います」
 弁護人:「工事とは具体的には何の工事なのか?『工事の中止を訴える』とあるが、この工事とは?」
 高島:「答える必要はありません」

裁判官は、「答える必要はありません」「証拠の内容に踏み込むのでお答えできません」「ご意見として伺います」といった定型句を連発。時計を見ながら何度も「時間が限られております。弁護人と被疑者からの意見陳述もあると思いますが大丈夫でしょうか」などと弁護人の質問をさえぎる場面も。
具体的な回答をしたのは50分弱のやりとりで数回のみ。勾留という人権を大幅に制限する決定をしておきながら、
それへの釈明の求めを事実上スルーしました。一方、弁護人からの当然の質問に対してたびたび「それは侮辱ですか?」と恫喝だけはきっちりやってのけます。

そんな白熱した攻防が続く中、Dさんは緊張しているようでもあり、飄々(ひょうひょう)としているようでもあり、時にキョロキョロしたり。みんなに会えて喜んでるのかな? でもやっぱり囚われの身、つらいのかな? などとハラハラドキドキ思案して、肝心のやりとりを聞き逃した傍聴人も。

弁護人からは、勾留の理由、勾留の相当性についても質問。

 弁護人:「逮捕は刑事訴訟法の何条に基づくのか?現行犯逮捕と言うが?」
 高島:「回答する必要がありません」
 弁護人:「供用停止の告示はいつ出されたのか?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「当日朝ですよ、そして慌てて駆け付けた。現行犯逮捕が本当ならば決定的証拠があるはずだが?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「あの場で規制してきたのは渋谷区職員。撮影も行っていた」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「客観的証拠とは渋谷区職員が撮ったものの事か?それは違法ですよ」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「被疑者は証拠を隠滅する事も、逃亡の恐れも、前科もない。なぜ逃げるからと拘束の必要が?住居が解ったのは何故ですか?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「家宅捜索やっているでしょう?!被疑者はなぜ逃げる必要があると判断を?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「大階段下に緑色のバリケードを渋谷区が置いている。法的根拠は?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「警察官はどのような形で規制と警告を行ったのか?下に降りろ、と言ったと聞いている。その法的根拠は?」
 高島:「答える必要はありません」
 弁護人:「法的根拠も明らかでない理由で彼は拘束されているという事か?」
 高島:「答える必要はありません」


続いて、待ちに待ったDさんの意見陳述です。Dさんは法廷の中央に立ち上がり、傍聴席の方を見て一礼して話し始めようとします。と、高島が「こっち(を見なさい)」と不機嫌そうに注意し、警察官が許可もなくDさんに触ってきました。
弁護人がすかさず抗議しましたが(「どっちを見ていても聞こえるでしょう」。そう、そうですよね)、やむなくDさんは高島側を向いて語り始めました。以下、傍聴人メモよりおおざっぱな抜粋。

親愛なる仲間のみなさま。
今日は来てくれてありがとうございます。
こちらも取り調べには出席を拒否してがんばっています。
4/1から仕出し弁当が変更になり、「おいしくなったね」などと同房の方と話しています。

渋谷署内では、留置係から「バカ・アホ」などといった暴言を吐かれます。
たとえば、「です・ます」で話さないと数名に取り囲まれ、「てめーなめんなよ」「どこだと思っているんだ!」などと怒鳴られます。
防御権のない場所だと感じます。
渋谷署は、全国ワースト1だと言うひともいます。
毛布のしまい方を間違えた人が布団を取り上げられたこともありました。「あんまりだ」と言った人にも罵声が返ってきました。私も靴下を取り上げられ、官本の貸し出しを制限されました。
さて、渋谷には非正規の若者や野宿者がいます。弾圧も、個人への攻撃であるだけではなく資本主義の問題です。私たちは、いわば「くめどもつきぬ貯水池」として扱われているのです。
渋谷区は、差別を消費欲で隠そうとしています。
待遇の違いを乗り越えていかなければならないと思います。
Eさんにもよろしくお伝えください。
ともにがんばりましょう。
 

  【Dさんの意見陳述、原稿はこちら http://oidashisuruna.blogspot.jp/2017/04/d327-28-13.html


最後に、弁護人からの意見陳述。渋谷区、警察、検察、
裁判所が一体となって地上げ屋をやっている、との鋭い指摘がありました。

公判での裁判官の態度からも、Dさんを監禁することを正当化する理由などないことが明白となりました。
しかし、Dさんはまだ捕まったままです。権力よ、Dさんを今すぐ出しなさい!
渋谷署は、全ての留置者への人権侵害をやめて謝りな!